2022年6月に公開された動画はティーザー(тизер.英teaser)という位置づけだったみたいだけど、10月に公開された動画では、ちゃんと予告編(трейлер.英trailer)という扱いになっている。
時間も50秒だったのが、2分30秒までのびた。
当然、ティーザーよりも詳しくて、新しい登場人物もでてくる。
まず見て気づくのが、チェブラーシカのCGにちょっと手が加えられていること。
毛並みが一本一本はっきりした感じになっている。ユーチューブのコメント欄は賛否両論だ。
私は予告編のチェブラーシカのほうがいいかな。
ロシア語の勉強も兼ねて、シナリオ風に抄訳してみた。
0:00 海辺の果樹園。
オレンジを収穫する農夫。かごに一杯のオレンジがみるみる減っていく。
農夫がかごを覗き込むと、穴から手が伸び、オレンジを抜き取る。
かごを持ち上げると、大量のオレンジの皮のそばにはチェブラーシカ。
0:15 ガイド:「皆様と向っているのは果樹園の上のほうでございます」(Мы с вами направляемся в верхнюю часть дендрария.)
だが、庭師のゲーナが柵を立てる。
そこには通行禁止(Проход запрещён )の札。
0:18 果樹園の園長(?)とシャパクリャク(訳注:「リマ」という名前に改名。お金持ちの御婦人という設定らしい)が現れる。
「あなたとはどうしたものかしら?」(Вот что мне с тобой делать?)と園長がゲーナに話しかける。
ゲーナはシャパクリャクが気に入らないらしく、ホースで水をかける。
0:25 ゲーナの家。
きれいに整頓された部屋をのぞきこむチェブラーシカ。
はしゃぎまわってシャンデリアから落下したところをゲーナに抱きかかえられる。
0:45 ゲーナ:「おまえさん、いったい、何(誰)なんだ?」(Ты что такое?)
チェブラーシカは「えへっ」って笑って、オレンジを一切れゲーナにあげようとする。
0:51 動物園。
獣医(?)がチェブラーシカの脚をもって宙づりにして調べている。
獣医:「しっぽは小さい、爪はふつう、でも、耳はでかいな」(Хвост маленький,когти средние,а уши огромные.)
獣医が息を吹きかけると、チェブラーシカも吹き返す。
獣医:「だめだよ、こんなことしちゃ」(Вот это не надо.)
1:00 ゲーナの部屋。
チェスをするゲーナと獣医。それをみているチェブラーシカ。
獣医:「エキゾチックな動物だよね。もしかして、これ(チェス)、できるかな?」(Экизотический экземпляр. )
駒を動かすチェブラーシカ。
獣医:「あれ、王手しちゃったぞ」(Шах поставил.)
ゲーナ:「詰んでるな、、、」(И мат.)
握手するゲーナとチェブラーシカ。
1:11 よちよち歩くチェブラーシカをながめる家族連れ
父(?):「いい品種だよね。子どもの面倒もみてるしね」(Хорошая такая порода.Ухаживает с детьми.)
オレンジを子どもにわたすチェブラーシカ。
1:18 ゲーナの家。
高級車から降りるシャパクリャク。
孫娘(?)の女の子も連れてきている。
園長:「ゲーナ、あなたの小犬を買いたいそうよ」(Гена.Тут хотят купить твоего щенка.)
玄関でチェブラーシカを抱えるゲーナ。
シャパクリャク:「これ、一体、何?」(Что это такое?)
園長:「ベラルーシの耳の大きな牧羊犬ですわ」(Белорусская ушастая овчарка.)
うれしそうにチェブラーシカに手をのばす女の子。
ゲーナ:「これは売り物じゃないんだ!」(Он не продаётся.)
きつい口調で拒絶し、ドアをバタンと閉めるゲーナ。
思いっきり叫ぶ女の子。
「耳のおっきなの、欲しい~~っ!」(Хочу ушастика!)
1:31 海辺の高級別荘。
くつろぐシャパクリャク。
ゲーナの家では園長が状況を説明している。
園長:「あの婦人は私たちの果樹園を閉鎖することもできるのよ。こんな風に」(Эта женщина весь наш дендрарий может закрыть. Вот так.)と指を鳴らすと、チェブラーシカも真似る。
1:39 海辺の高級別荘。
シャパクリャクがゲーナと獣医に高見から警告する。
シャパクリャク:「あなたの耳の大きな子を静かな暮らしと交換してあげるわよ、道化師さん」(Меняю вашего щенка на вашу спокойную жизнь.Клоуны.)
1:48 新年のテロップ。
階段を落ちる大量のオレンジ。
空から降り注ぐオレンジに逃げ惑う人々。
ねずみが発生した店内のごたごた。
階段下で悪態をつくゲーナ。
2:00 「家族で」(В кругу семьи)のテロップ。
広場。
飛び立つロケットに拍手する人々。
正装したゲーナが運転する軽トラではしゃぐチェブラーシカ。
2:07 チェブラーシカのテロップ。
オレンジが降り注ぐ。
2:10 ゲーナの部屋。
チェブラーシカと獣医もいる。
獣医:「この生き物はいったい何なんだろうな?」(Чего вот это создание что-то ?)
ゲーナ:「オウムと猿の間ってとこかな」(Среднее между попугаем и обезьяном.)
2人の会話に突然反応するチェブラーシカ。
チェブラーシカ:「オウサルさん?」(Попузьян?)
驚く、2人。
獣医:「こりゃ、もう論理的思考だぞ!」(Это уже логическое мышление.)
ゲーナ:「動物にこんなのいるかな?」(А у животных это разве бывает? )
獣医:「だよね、人間にだって、こんなのいないよな」(Да не у человека это бывает.)
2:23 「誕生日の歌」のイントロ。
「映画は1月1日から」В кино с 1 января のテロップ。
(終わり)
【訳注】
「耳の大きな動物」ушастикについては、ソ連アニメで「Ушастик и его друзья 」(1979~1982)、ロシアアニメで「Ушастики」という作品があるらしいから、たぶん、ロシアの人たちならすぐにイメージできるのかもしれない。
「オウサル」は適当に訳したが、オウム「Попугай 」と猿「Обезьян 」を単純に足したチェブラーシカの造語。Попу+зьян(パプガイ+アベジヤン→パプジヤン)。
ロシア語への自動翻訳の字幕はあるが、字幕がなくてもほとんどわかった。
ただ、2か所分からないところがあったけど、なぜか、そこだけが自動翻訳してくれていなかった。
人間が聞き取りにくいところは、自動翻訳もまだ苦手なのかもしれない。
チェブラーシカファンもたくさんいる日本だけど、残念ながら、この作品、いろいろな状況から日本の映画館で公開されることはないかもね。