ウクライナ大統領府前。
大統領に不満をもつ多数の市民が「恥知らず!」とシュプレヒコールを繰り返している。
大統領が「みなさん、私の話を聞いてください。話させてください!」と懇願しても、シュプレヒコールは収まらない。
ところが、困り果てた大統領が「プーチン政権が転覆したぞ!」と叫ぶと、驚いた市民は一瞬で凍り付き、シュプレヒコールがたちどころに終わった。
大統領はそばのSPと振り返り、「驚いたね。これ、いつも上手くいくなあ」と呟いた。
もちろん、現実の話ではない。
テレビドラマ「国民の僕(しもべ)」第1シーズン第20話のエピソード。6分15秒ぐらいから視聴できる。
→Сериал Слуга Народа - 20 серия | Премьера Комедии 2015 - YouTube
「国民の僕(しもべ)は第1話から少しずつあらすじを追っていく予定だったけど、このエピソードは、とりあえず、備忘録的に書いておくことにした。
市民のシュプレヒコールの「恥知らず!」はウクライナ語で「ганьба 」。発音記号は「han'ba」。
ところが、数分後のゼレンスキー演じるゴロボロドコ大統領は明らかに「gan'ba」と発音している。ウクライナ語、ロシア語の音韻論は勉強したことないからよくわからないけど、ロシア語が母語の話し手のウクライナ語の発音は少し変化するんだろうか?
この「ганьба 」。現在のロシア軍のウクライナ侵攻の映像にもあって、南部へルソン市に進軍してきたロシア軍車両を追いかえすウクライナ市民が「ганьба! ганьба!」と叫んでいた。
もうひとつは「プーチン政権転覆!」(Путина свергли!)のインパクト。
この第1シーズンは2015年の放映でロシアのクリミア併合の直後。領土を奪い取ったプーチンへの反感は現実の世界でも強かったに違いない。
だが、ロシアがウクライナに侵攻した2022年の現在では、それこそ当時とは比べ物にならないほどの超ド級のインパクトがある言葉になっている。
ドラマの中のセリフの言葉じゃなく、現実世界の実際の言葉として、ゼレンスキー大統領の口から発せられることが来る日を期待している。