1.はじめに
いわゆる英検1級には、それこそ腐るほど教科書、参考書、合格体験記があります。
中国語や韓国語検定も充実しています。
独、仏、伊、西語検定でも、HPやブログでけっこう情報を得ることができます。
でも、ロシア語については2級まではネット上で散見されるけど、1級について
の具体的な対策本とか合格体験記は、ほとんどみかけません(自分が知らないだけかもしれないけど、、、)。
そもそも需要がないのが原因と思われますが、ロシア語を趣味にしている人間としては、さすがにちょっと寂しい。
というわけで、昨年の合格への経緯も含めて、「ロシア語能力検定試験」1級合格へための「傾向と対策」について、若干の私見をまとめようと思いました。
(「ロシア語検定」にはТРКИ(テー・エル・カー・イー)がありますが、そちらとは違います。なお、本ブログでは「ロシア語能力検定試験」を「露検」と表記します)
2.学び直し
25年ぶりにロシア語を再勉強し始めたのは、2021年の末ごろでした。
友だちに旧ソ連時代からのチェブラーシカファンがいて、彼らのために日本で公開されていないシリーズを訳してあげたのが再勉強のきっかけでした。
ところが、2022年2月、ロシアがウクライナを軍事侵攻。
この軍事侵攻はかなりショックでしたが、なぜこんな事態になったのかを深く知りたくて、むしろロシア語の学習熱は高まりました。
「学び直し」とはいっても、仕事や留学のためではありません。
チェブラーシカに限らず、ユーチューブには旧ソ連やロシアの映画・音楽・ニュースのコンテンツがたくさんあって、それをロシア語で見たり聞いたりするのを楽しんでいた程度です。
いわゆる趣味のロシア語です。
だから、ただぼんやりとロシア語を楽しむのも良かったんですが、やはり趣味のランニングと同じく、何かちょっと刺激みたいなものが欲しくなります。
ふだんのジョグに飽き足らず、どこかの大会にチャレンジしてみたくなるランナーのような気持ちです。
調べてみると、ロシア語関係では「ロシア語能力検定試験」、「ロシア語検定試験(ТРКИ)」、「通訳案内士試験」、「翻訳実務士」、その他、医療関係の資格がありました。
最初は「ТРКИ」が面白そうだったので、そのための勉強をしましたが、受験料も高いし、留学の予定もないので断念。
「通訳案内士」ははるか昔の学生時代に合格しています(でも、ペーパー資格)。
その他の資格は趣味のロシア語の実力を測るためには、ちょっと専門的すぎる感じがしました。
そこで、受検料も手頃だし、私のような地方都市在住者でも受検できる「ロシア語能力検定試験」にチャレンジすることに決めました。
詳しくはこちら。
3.初受検
「ロシア語能力検定試験」は、1級から4級まであります。
どれも受けたことはありませんでしたが、最初から一番上の1級を受検することにしました。
はるか昔ですが「通訳案内士」に合格しているし、現在もロシア語の映画やニュースなどは字幕なしでけっこう理解できるので、とくに何の対策をしなくても合格だろうって考えていたからです(これが安易な過信だということが後でわかりましたが、、、)
初受検の第80回ロシア語能力検定試験は2022年10月30日。
なのに本格的に試験対策を始めたのは、10月初めからでした。
とりあえず、第60回からの過去問を取り寄せました。
実際に解いてみてびっくりしました。
試験は「文法」、「露文和訳」、「和文露訳」、「聴取」、「会話」の5科目ありますが、自己採点できる「文法」はどの年の過去問も合格点ぎりぎり。
「露文和訳」はなんとかなりそうだけど、「和文露訳」は自分でも無茶苦茶な翻訳だと分かるぐらいの不出来具合い。
ユーチューブで鍛えているはずの「聴取」も、聞き流しているだけの趣味のロシア語では肝心なところが聞き取れない。
「会話」に至っては、時事的なテーマで3分間のスピーチをするのだけど、独学でロシア人の知り合いもいないという、それこそ日常会話だってしていない身ではまったく勝負になりません。
でも、とりあえず3週間で過去問を3回ほど回して本番。
結果は、残念ながら、不合格でした。
合格には各科目で60%以上の得点が必要です。
この年、総合点では67%ぐらいでした。「文法」、「露文和訳」、「和文露訳」は75%前後でしたが、「聴取」、「会話」が60%に足りませんでした。
ただ、この2科目についてはロシア語の実力というより、受検技術で失敗したと思っています。
いずれにしても、どんな試験対策にも王道の「過去問対策」を怠っていたことが最大の敗因であることは確かでした。
4.2回目で合格
2023年は前年の反省を踏まえ、早めに夏頃から過去問をしっかりと検討することにしました。
過去問を検討すると、例えば、「文法」なら副動詞・形動詞、数詞、「和文露訳」なら題材は新聞の社説、「会話」なら題材は時事ネタ、などといった傾向がよくわかりました。
でも、例えば、日本人だからといって「漢検」に合格できるわけではありません。
それと同じで、試験である以上、その試験に特化した対策が必要なのは「ロシア語能力検定試験」でも同じです。
そんな当たり前のことを無視していた自分は愚かでしたね。
この年の試験も10月末。
ロシア語能力検定試験の1、2級は、年に一回だけ実施なのです。
前年の不合格が悔しかったので、もうひとつの趣味のランニングの時間を削ってまでロシア語の勉強をしました。
おかげでなんとか合格。
受検者64人、合格者6人で、合格率は9.38%でした。
ただ、ランニングは、12月のフルマラソンでワースト記録になるほどダメになりましたが、ロシア語でなんとかある程度の結果がでてほっとしました。
この試験、ロシア語の実力がかなりあっても、やはりこの試験特有の問題を解答できなければ合格点を取ることは難しいと思います。
とくに文法問題は、「重箱の隅」的問題もあって、頻出事項を集中的にきちんと押さえておかないといけません。
しかしながら、過去問の傾向を検討すれば、押さえるべきことはある程度予想できることがわかります。
「傾向と対策」をしっかり把握しておけば、合格に必要な60%を超えることは、2級合格者ぐらいの実力があれば難しいことじゃないと思われます。
今回、1級合格で一区切りできましたが、やはりランニングと同じで、ロシア語にもときどき刺激が必要です。
だから、また今年か来年か分からないけど、「ロシア語能力検定試験」を再受検するかもしれません。
なので、このブログでは「傾向と対策」と同時に自分自身の備忘録のつもりで、次回以降、「文法」、「露文和訳」、「和文露訳」、「聴取」、「会話」にわけて順に過去問を検討していきたいと思います。