mir821’s diary~露語&ランニング〜

25年ぶりにロシア語を再勉強中。たまにモンゴル語&ランニング。

ロシア語能力検定1級・傾向と対策~総論~

1.試験の実施内容

1級(2級も)の実施内容、試験時間の内訳は、下記の通りです。

・筆記試験(120分)   ー 文法、露文和訳、和文露訳

・聴取試験(約25分)   ー 2分程度のロシア語音声を3回聴いた後、15分で聞き取った内容を日本語で書く。

・会話(口頭作文)(約15分)ー 10分で作文準備した後、3分間スピーチする(録音)

 

1級の学習達成度の判定基準は、ちょっと煩わしい引用になりますが、具体的には下記のようになっています。

「文法」ー 習得語彙数約3000語。

      基本的にすべての文法事項を習得していることが条件。

      具体的には2級の文法事項に、完了体と不完了体の明確な使い分け、関係代名詞の用法、形動詞と副動詞、不定代名詞・否定代名詞(副詞)、関係副詞や接続詞を用いた複文、慣用句に見られる文法事項。

「会話力」- 準備すれば、長文のスピーチができ、様々なテーマでロシア人と自由な会話ができる。

       仕事の様々な場面で問題に対処することができる。事前の準備があれば、ネイティブスピーカーとも意見の交換ができる。

「聴取力」ー ネイティブスピーカーによる一般的なテーマの話が分かり、専門的な話も事前の準備があれば理解できる。

「読解力」ー 一般的な事柄についての文章を読むことができ、専門的な文章についても必要な内容をよみとることができる。

和文露訳」ー キーポイントになる単語と表現が与えられば、専門分野の露訳もできる。

       

以上のようになっていますが、実際の試験とはちょっと違うんじゃないかな、ってところがあります。

たとえば、「会話力」のところの「長文のスピーチ」、「自由な会話」、「ネイティブスピーカーとの意見交換」。

露検では英検とかと違い、試験監督との対面でのやりとりはありません。与えられたテーマについて、いわゆる3分間スピーチを自分でICレコーダーに録音します。

また、「和文露訳」では、キーポイントになる単語も表現も(固有名詞を除いて)与えられません。テーマも「専門分野」ではなく、ほぼ日本の新聞の社説です。

また、「文法」は「語彙約3000語」となっていますが、その程度の語彙力ではまるで歯が立ちません。

合否を分けるポイントは、この判断基準以外にまた別のところにあります。

 

2.合格判定基準

「ロシア語能力検定試験」(以下、露検)の1級の配点は、「文法」(配点100点)、「露文和訳」(配点100点)、「和文露訳」(配点100点)、「聴取」(配点50点)、「会話」(配点50点)の合計400点満点です(写真参照)。

合格には各科目60%以上をとることが必要で、1科目でも60点未満だと不合格になってしまいます。

 

私も初受検の2022年、総合点では67%の得点でしたが、「聴取」、「会話」が60%未満だったので不合格となりました。

60%以上の科目の翌年免除という仕組みもありません。

 

ちなみに同試験委員会が公表している各科目の平均点は以下のようになっています。

ちょっと面倒でしたが、まとめてみました。

     文法   露文和訳  和文露訳  聴取   会話  平均点

第60回 (42.29) (47.74) (29.77) (16.00) (16.72) (144.65)

第62回 (34.24) (45.49) (40.67) (19.82) (21.76) (131.13)

第64回 (42.30) (62.68) (44.19) (19.49) (22.92) (150.81)

第66回 (47.48) (59.07) (41.19) (23.21) (22.23) (150.33)

第68回 (40.45) (54.16) (40.39) (22.96) (23.73) (181.70)

第70回 (46.03) (66.61) (43.87) (18.26) (23.00) (197.77)

第72回 (58.39) (58.25) (42.58) (23.02) (25.32) (192.12)

第74回 (46.56) (51.88) (39.69) (27.13) (27.69) (192.94)

第76回 (46.76) (62.03) (40.35) (20.24) (27.36) (196.07)

第78回 (53.44) (57.71) (42.02) (24.50) (26.24) (203.90)

第80回 (41.38) (52.31) (48.22) (23.13) (28.73) (192.95)

第82回 (40.69) (55.73) (44.50) (23.42) (28.44) (192.78)

 

これをみると、第70回(2017年)以降は平均点が200点前後になっています。

第68回以前の合格判定基準が現在と同じ60%以上だったかは知りませんが、もしそうだとすると合格のハードルはかなり高いものだったんじゃないでしょうか。

第74回以降は「会話」については平均点がけっこう高いです。採点にどうしても主観的判断が入るため、難易度にかかわらず年度ごとに相対的な採点基準をしているのかもしれません

5科目のうち「露文和訳」だけが5~60%の平均点で、あとの4科目は40~55%。

1級を受検する方は相応の実力があるはずですが、平均点をみると、「文法」、「和文露訳」、「聴取」でかなり苦労していることが伺われます。

 

データをみると、第70回以降は平均点もほぼ安定し、さらに出題傾向もあまり変わっていません。

来年度がどうなるのかは予想できませんが、とくに直近7年の過去問を徹底分析することが、第84回への合格の近道になると思われます。

 

3.まとめ

以上、露検1級のデータを全体的にまとめてみましたが、かなり抽象的でよくわからないと思います。

次回以降、筆者が入手した第60回(2012年)の過去問を基礎にして、各5科目の具体的傾向と対策をしていくことにします。

 

対象としては以下の方を想定しています。

①露検2級は合格して1級にチャレンジしているけど、あと一歩の方。

②露検1級を初めて受検するけど、ТРКИのB2~C1ぐらいの実力のある方。

 

なお、筆者はロシア語の講師とかでもありません。ロシア語を趣味に勉強している語学好きです。

この「傾向と対策」も、将来的に再受験するかもしれない自分自身への備忘録を兼ねています。

問題の正誤、解釈の誤りなどについては、責任を持ちかねますのでご了承ください。