mir821’s diary~露語&ランニング〜

25年ぶりにロシア語を再勉強中。たまにモンゴル語&ランニング。

ロシア語能力検定1級・傾向と対策~口頭作文~

1.はじめに

試験は文面上、「会話(口頭作文)」、です。

しかも、1級の合格判定基準は、「会話力」として、「準備すれば長文のスピーチができ、さまざまなテーマでロシア人と自由に会話できる」、「仕事の様々な場面で問題に対処することができる。事前の準備があればネイティブスピーカーとも意見の交換や討論ができる」、となっています。

このようにかなりのレベルを求めていますが、実際の試験時間は約15分です。

しかも、試験時に与えられたテーマについて10分で作文準備した後、3分間スピーチをするんですが、座席でICレコーダーに自分で録音します。

面接官との対面でのスピーチやグループ討論などではありません。

つまり、「会話」ではなく、3分間で「口頭作文」をする試験なのです。

判定基準の建前と現実の試験にはちょっと落差があります。

2.傾向

第60回以降のテーマはつぎのとおりです。

第60回 「文化と経済発展」

第62回 「日本の農業」

第64回 「日本に来る外国人旅行客」

第66回 「18歳以上の選挙権」

第68回 「都市と農村の格差」

第70回 「人工知能

第72回 「防災への取り組み」

第74回 「現代社会とボランティア」

第76回 「ウイルスと人間」

第78回 「地域活性化と地方創生」

第80回 「高齢化社会と車」

第82回 「経済格差と教育」

 

そのときどきの時事テーマばかりです。しかも外国との関わりではなく、例外はありますが、ほとんどすべて日本の国内問題です。

日本が抱えている諸問題についてロシア語で説明することが求められているようです。

3.対策

テーマが限定されているので対策もたてやすいです。

ただ、合格点を取るためには、しっかりした事前の準備が必要な科目です。

各テーマについて、突然3分間スピーチをしろと言われたら、よほど頭の良い人でない限り、たとえ日本語でも戸惑うと思います。

まずは、時事問題についてのロシア語の語彙力を高めておかなければいけません。

たとえば、「経済格差」(第82回)、「高齢化社会」(第80回)といった単語がすぐにでてこないと、スピーチすることさえできません。

そのためには「和文露訳」のところで触れた次のテキストが「口頭作文」でも役立ちます。

増補版 時事ロシア語 | 加藤栄一, 時事ロシア語改訂委員会 |本 | 通販 | Amazon

テーマが限定されているため、予測が立てやすいので、いわゆるヤマを張ることもできます。

私は、「SDG’s」、「LGBT」、「子ども支援」、「ひきこもり」、「生成AI」、「学び直し」などいろんなテーマについて、単語帳や短文を作って準備していました。

結果的にヤマは当たりませんでしたが、3分間でのスピーチの「起承転結」については、ある程度まとめられることができるようにはなりました。予想がはずれても、応用がききます。

なお、テーマについて回答することは当然大切ですが、この「口頭作文」は、テーマに対する内容を審査するものではありません。

専門家でもない限り、例えば、「経済格差と教育」(第82回)について誰もが納得する正しい解答を10分で考えつくのは困難です。

試験の冒頭、試験官から以下のような説明がありました。

「この試験はロシア語の発音、文法などの正しさを試すものです」

つまり、決して内容ではなく、スピーチされたロシア語がきちんとしたロシア語であるかが試されているわけです。

無理に難しいことを答えようとせず、正しいロシア語で相手に伝わるように話すことが大切です。

最後に、この「口頭作文」のやり方は特殊です。

他の受検生たちもいる教室の中で、自分でICレコーダーに声を吹き込みます。

回りの受検生が吹き込む声も丸聞こえで、これが意外と気が散ります。

2級までの試験経験がある方なら大丈夫かもしれませんが、いきなり受検すると、とまどうこと確実です。私は最初の試験のとき驚きました。

もし、次に再受検するとしたら、なるべく他の受検生から離れて座るか、耳栓をもっていくかするつもりです。

4.おわりに

以上、「ロシア語能力検定試験」1級の各科目についての「傾向と対策」について書きました。

ロシア語1級にチャレンジされる方々の参考に少しでもなっていれば幸いです。

つぎは各年度ごとの過去問分析をするかもしれません。