日本語の表記は「ボルシチ」が定番だが、ロシア語の「борщ」の発音を聞いても、はっきりと「ボルシチ」とは聞こえない。
「ボルシチ」じゃなく、「ボールシ」、って聞こえる。
なんで「ボルシチ」じゃなく「ボールシ」なのかって、ずっと疑問に思っていた。
でも、なにやらひとつの回答らしきものが見つかった。
ウクライナ語でも「ボルシチ」は、ロシア語と表記が同じ「борщ」。
ところが、発音は「ボールシ」なんかじゃなく、まさに「ボルシチ」。「チ」がはっきり聞こえる、ってことがわかった。
Youtubeでフォローしているロシア語のNika Minchenko先生が、ウクライナ語のレッスンを始めた。
綺麗でお洒落なウクライナ人。
キーウ近郊に住んでいて、ロシア軍によるウクライナ侵攻で町は攻撃され、ご自身も避難を余儀なくされた。
英語圏向けに流暢な英語でロシア語を教えていたが、今回の侵攻で一般向けのロシア語のレッスンは止めて、今後はウクライナ語のレッスンに方向転換するとのことだ。
記念すべき第1回目の公開動画を聞いてみた。
Ukrainian lesson 1. Learn to read Ukrainian in 25 minutes - YouTube
レッスン1はウクライナ語のアルファベットの読み方。
ウクライナ語は33文字あり、キリル文字が基礎で、子音21、半母音1、母音10、軟記号(b)、アポストロフィ、という構成なんだそうだ。
英語圏向けのレッスンだから、なじみの薄いキリル文字をわかりやすく分類して説明している。
ただ、ロシア語になじんでいる学習者としては、挙げていたすべての単語はすんなりと読めるものばかり。
でも、ロシア語との発音の違い、ロシア語にはない文字の説明はとても役に立った。
へぇ~って思ったことはたくさんあったけど、一番面白かったのが冒頭にあげた「ボルシチ」の発音。
ウクライナ語では「борщ」の「щ」は「shch」を二つの音節としてはっきりと読むんだそうだ。
先生の発音は、日本人の自分が聞いても明らかに「ボルシチ」以外のなにものでもなかった。
で、とりあえずの「ボルシチ」のカタカナ表記の推測の回答。
きっと昔の日本人のロシア語教師、辞書編纂者が参考にした発音は、もしかしてウクライナ系ロシア人の発音だったんじゃないかってこと。
これにはずっと気にかかっていたこともあるので、また別稿で。
キーワードは「青いプラトーク」。