直訳すれば、「グーグルで『ウクライナ』と入力してくれ!」。
ゼレンスキー現大統領が俳優、芸人時代に主宰していたエンタメグループ「第95街区」のコンサートのフィナーレの歌。
Финальная песня - Набери "Украина" в Гугле | Вечерний Квартал 31. 05. 2014 - YouTube
2014年5月31日だから、ロシアによるクリミア併合(2014.3.18)の直後の映像ということになる。
観客席は満員で、歌や踊りに合わせて、観客たちも手拍子で盛り上がっている。
そのうちステージにホワイトボードが持ち込まれ、スタッフがウクライナの国境線を縁取ると、そのあとは子どもたちが青色と黄色のインクを両手につけて、ウクライナ領土を国旗のように色付けする、という演出だった。
ショーというよりも政治集会みたいだ。
歌の内容もウクライナをめぐる国内外の政治的なテーマがふんだんに織り込まれている。
対ロシア関係、クリミア併合、ロシア語vsウクライナ語、黒海艦隊、対外債務、etc...、さまざまな問題を抱えるウクライナ。
より良い祖国にすることは自分たちの課題であり使命だけど、世界も少しはウクライナに関心を持ってほしいという願いも込められているのだろう。
現実にロシアがウクライナに軍事侵攻した現在では世界中の視線がウクライナに注がれているが、8年前はほとんど無関心といっていい状態だった。
翻訳してみたが、うまく訳せないところがいくつかあった。
【訳】
祖国よ、お前のことが心配だよ。
引き裂かれて、なくなってしまうんじゃないかって。
南東部もどっかに行きたがってるしね。
でも、どこへ? わかんないよね?
まるで全部が自分たちのものってことかな、でも、信用できないね。
俺たちのおじいさんがどっちの側で戦ったのかって口論したり、
この20年、誰が誰を養ってきたのか、とか。
どこが悪いっていうんだ。
「ウクライナ」ってググってくれよ!
ウクライナを地図で探してくれよ!
そしたら思い込まないはずさ、
俺たちのことを隣のやつらと兄弟なんだろうってね。
グーグルで「ウクライナ」って書いてくれよ。
ほかにどんなことを探し出せるかな?
言葉のことも思い出そう、
愛しい人にだけキスするように。
言葉の問題はすぐにも解決しないとね、
ロシア語で飲んだり、おとなりさんと仲良くするし、
ウクライナ語で愛することだって、
たぶん、難しくないさ。
もしあいつと一緒じゃなけりゃ嘆くこともないかもね。
ガスの値段だって3分の1上げさせればいいし、
栓を止めたって、むこうで喘ぐより、ここで焦げるほうがいいかもね。
「ウクライナ」ってググってくれよ!
ウクライナを地図で探してくれよ!
そしたらこんなことも見つけるはずさ、
ドニプロがどこでカルパチアが、どこか?、とか。
そしたら、お願いだから、質問しないでくれよ!
一体、クリミアは誰のものなのかって、他のやつらのものなのか、俺たちのものなのか、って。
しばらくは色を塗り替えさせておくけど、
決してロシアのものにはならないから。
俺の祖国をグーグルで検索してくれ!
一年後か、それとも3月ぐらいか、
俺たちはどこにも行くつもりはない、
もしご希望なら俺たちに加わってくれ。
船はロシアに売ったけど、
いい船を自分たちで作るつもりさ。
債務はとうの昔に返したぜ、
生活は最高さ、あとは道路だけだな!
「ウクライナ」ってググってくれよ!
繁栄しているところを探してくれよ!
誰かとほんとの友情を築きたいって思っているところを、
イタリアから働きにくるところを。
スイスだって頼んでくるんだ。
「お願いします!貴国のところで。貴国の銀行は信頼できます」って。
気の毒だから、俺たちはすべてを受け入れてやるよ!
なんたって、ウクライナは無限の可能性のある国だからな!!
【注】
Youtubeの字幕はほとんどでたらめだったので、下記の原文のテキストをロシアのネットから拾った。
ロシア語ネイティブの知り合いがいないので確認できないけど、ちょっといくつかおかしい単語や表現もあった。
最大の疑問点は、
Пусть на время цвета перекрасили,
Но никогда он не станет Рашей!
の「Рашей」。
何回聞いても、「Россией」に聞こえる。
文意としても「Россией」が正しいと思うけど、どうなんだろ?
FBで Рашкаって単語を見つけた。文章の流れからロシア人の蔑称だった。Рашаも蔑称かも。
もう一つは、Где еще от ищеш такую?のот ищешは、отыщешьの気がする。
【原文】
Переживаю я Родина о тебе,
Что б не порвали как вроде тебя и нет,
Юго-Восток тоже хочет уйти,
Но куда? Не понятно!
Вроде бы все свои, а доверья нет,
Споры, на чьей стороне воевал мой дед,
Кто кого кормит последние 20 лет,
Где, виноваты?
Набери "Украина" в гугле,
Поищи Украину на карте,
Что о нас только не придумают,
Соседи и якобы братья.
Напиши "Украина" в гугле,
Где еще от ищеш такую?
Про язык вспоминать будем,
Лишь любимых своих целуя.
Надо бы срочно вопрос языка решить,
По-русски пить и с соседом своим дружить,
По-украински уметь любить,
Вроде, не сложно.
И если вместе не с ней не о чем жалеть,
Пусть даже цену поднимут на газ на треть,
Или отключать, но лучше нам здесь сгореть,
Чем там задохнуться.
Припев:
Набери "Украина" в гугле,
Поищи Украину на карте,
Где еще ты найдешь такую
Где еще Дніпро и Карпаты?
И пожалуйста даже не спрашивай!
Чей же Крым: чужой или наш он?
Пусть на время цвета перекрасили,
Но никогда он не станет Рашей!
Набери мою родину в гугле,
Через год, где-то может быть в марте,
Мы вступать никуда не будем,
Есть желание к нам вступайте!
Корабли подарили России,
А себе хорошие строим,
Все долги мы давно-давно погасили,
Жизнь зашибись, остались только дороги!
Наберешь "Украина" в гугле,
И поймешь где живет процветание,
С кем хотят наладить все дружбу,
Куда едут работать с Италии.
И Швейцария просит: "Пожалуйста!
Можно к вам, у вас банки надежные!"
А мы всех принимаем из жалости!
УКРАИНА СТРАНА БЕЗГРАНИЧНЫХ ВОЗМОЖНОСТЕЙ!!!