生徒がこっそり撮影して投稿した動画がSNSでバズった結果、ふつうの歴史教師のゴロボロジコが大統領に当選してしまうっていうのが、ドラマ「国民の僕」のストーリーの冒頭の核心。
動画はゴロボロジコが激しい調子で政治批判をする内容なのだが、いわゆる放送禁止用語を多用しているため、あまりにピーピー音が多くてよく聞き取れない。
ネイティブだと何の問題もないのだろうけど、私ぐらいのレベルだと何度も何度も繰り返し聞かないとなかなか理解ができなかった。
10:11 教室。歴史の授業をするゴロボロジコ。生徒にミハイロ・フルシェフスキーについて説明させている。
ミハイロ・フルシェフスキー(1866‐1934)は歴史学者で、ウクライナの歴史はロシアの歴史とは違うと主張した人物。ウクライナ中央ラーダの議長を務めた政治家でもあった。
歴史上の意義をうまく生徒は説明できないが、通りの名前や紙幣の顔になっていることは答えることができていた。
授業中に同僚が教室に入ってきて、10Bの生徒たちに投票所の設置の手伝いをするように指示すると、自分の授業を邪魔されたゴロボロジコが怒り心頭に発し、突然、ものすごい勢いでまくしたてる。
11:37 (注:ピーピー音でよく聞き取れない。たぶん、こんなことを言っている気がする)
ゴロボロジコ 「なんで10Aのクラスじゃないんだ。数学だからか?」
「もう、うんざりだ。数学は科学で歴史は糞なのか?」
「なんでこの国の政治家がいつも同じ間違いを繰り返すんだ、え? それはあいつらが数学者だからなんだよ。足して、割って、掛けて、って、それで財産を増やしているだけなんだ」
「選挙だって、選んでいい奴なんか誰もいない。25年以上、何も変わっちゃいない。今度だって同じだ!糞ったればかりを選んでいるんだ」
「俺にちょっとでもやらしてみろよ。別荘も恩恵も何にもいらない。大統領がふつうの教師のように生活すればいいだけなんだ!」
10Bの生徒の一人が教室の外か興奮するゴロボロジコの様子をスマホでこっそり撮影していた。その後、この動画がSNSでバズることになる。
13:14 再び、を首相との車の中のシーン。テレビは選挙関連のニュースを伝えている。
選挙で敗れた対立候補が不正があったとまくしたてている。
対立候補:「誰なんだ、こいつは? どこからやって来たんだ? 完全に私が勝利していた。明日はマイダン広場に集結しよう!」
実際にもあったヤヌコビッチとかポロシェンコとかの大統領選を彷彿させるような場面だね。
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ゴロボロジコたちが向かっているのは大統領府。
質素な高校教師の服装をあれこれとコーディネートするためだ。
14:54 美人秘書たちが持ってきたのは高級時計のコレクション。歴代の大統領たちが集めたものなんだろうか?
「これは誰がはめているのか知ってますか?」と、HUBLOTを指し示してゴロボロジコに尋ねる首相。
「知らない」って答えたゴロボロジコに、「プーチンですよ」って明かしていた。
時計に続いて、香水、靴、ネクタイも選び放題。スーツにいたっては複数のデザイナーまで用意されている豪勢ぶり。
実際の歴代大統領がここまで贅沢の限りを尽くしていたのかはわからないけど、多くのウクライナ国民にとっては、腐敗した政権に対する当たり前のイメージなのかもしれない。