激しい戦闘で廃墟となったマリウポリだが、ロシアの巨大資本が参入して、建物、道路といった公共インフラの整備が急ピッチで進んでいる。
ユーチューブには、たくさんの親ロシア派ユーチューバーの動画が毎日投稿されているから、それを見ていると「復興」という名の「占領政策」が展開されている様子がよくわかる。
下(↓)に張り付けたのは、「マリウポリからのワーニャ」というチャンネル。
ワーニャはイワンの愛称。
概要欄には紹介文はないが、推測すると、サンクトペテルブルクの大手建設会社「クラッシュマッシュ」の関係者と思われる。
このチャンネルも、もしかして、業務連絡を兼ねているかもしれないね。
字幕の利用ができないので、画面に現れたロシア語のテロップを経過時間とともに訳してみた。ついでに画面の様子も書いてみた。
(このチャンネルのほとんどは簡単なテロップとBGMが流れているだけ)
5月24日投稿で、見出しは、「今日の市内の概況/復興、生活/建設、改修/グループ会社『クラッシュマッシュ』」、となっている。
0:00 24 Мая Мариуполь(マリウポリ 5月24日)
広い通りを歩く人々、親子連れもいる。
0:05 Сезон открыт. Майский загар самый стойкий?(シーズン開幕。5月の日焼けがもっとも色あせないかな?)
海水浴場。水着の人もいるが、水はまだ冷たそう。
0:32 МГУ(エム・ゲー・ウー)
モスクワ国立大学( Московский Государственный Университет)ではなく、マリウポリ国立大学 (Маурипольский Государственный Университет)
0:40 Строителей(ストライーチェリ)
ストライーチェリ大通りの略かな?
0:49 Группа компаний КрашМаш(グループ会社 クラッシュマッシュ)
テロップじゃなく、画面右下の看板。建設機材にも企業ロゴ。
1:01 Мира - Зелинского(平和大通り―ゼレンスキー大通り)
いまだに焼けこげたままのビル
1:41 Мира - Левановского(平和大通り―レバノフスキー大通り)
こちらは新築ビル。側面には姉妹都市のサンクトペテルブルクとマリウポリのロゴ。
1:59 Проспект Мира,106(平和大通り 106)
焼け焦げたビルに作業中のゴンドラ
2:10 Проспект Мира,94(平和大通り 94)
窓ガラスは修復済み
2:17 Двор по Лавицкому 12 - 14(レバンツキー沿いの中庭 12-14)
子どもたちが遊具で遊んでいる。フットサル場もある
2:42 Проспект Строителей,срезают асфальт(建設大通り、アスファルトの撤去中)
2:56 Проспект Строителей,86 Снос части дома(建設大通り86、家屋の一部撤去)
3:02 Эх,что Вы творите мужечки!(おい、お前たち何やってんだ!)
ベンチ脇のごみ箱に空き瓶、空き缶をぶちまけているやつらを怒っている。
といった感じ。
このユーチューバーの動画のほとんどが建設ラッシュに沸くマリウポリの映像。
ちなみに「クラッシュマッシュ」とは何?って、チャットGPTにロシア語で聞いてみると、次のような答えが返ってきた。
ГК КрашМаш - это российская группа компаний, которая специализируется на демонтаже зданий и сооружений. Она была основана в феврале 2006 года и занимает 37-е место в топ-100 крупнейших демонтажных компаний мира.
訳すと、「GC クラッシュマッシュは、建物の解体と建設を専門とするロシアのグループ企業です。同社は2006年2月に設立され、世界の解体大企業100社中36位に位置しています」、となる。
サンクトペテルブルクはマリウポリの姉妹都市であり、プーチンの出身地でもある。
きっとロシアの威信をかけて占領政策を進めているんだろうけど、近く予想されているウクライナの反転攻勢が現実となった場合、まっさきに奪還されるのは、このマリウポリが筆頭候補のはず。
また、激しい戦闘が起こって、新築したばかりの建物が廃墟になってしまう可能性もある。
もともとこの地域はロシア系住民が多数だったから、不法併合後のマリウポリに残っている住民たちも親ロシア派がほとんどだろうけど、ここで現在働いているロシア人たちは併合されたから安心して建物を建設しているんだろうか、それとも多少の不安を感じているんだろうか?
残念ながら、「業務報告」的なこの動画チャンネルからは、そういったことは垣間見れない(ほかのチャンネルにはなんとなくわかるものもある)。