5月23日、ロシアが併合を宣言したウクライナ・へルソン州での学校の卒業式の光景。
式典に掲げられているのは黄と青のウクライナ国旗ではなく、ロシアの三色旗。
さらに、参列者が直立不動で聞いているのもロシア国歌だ。
当地の親露派ユーチューバーの投稿だが、ロシアが実効支配するへルソン州南部では、もともとロシア系住民が多数なのだけど、「Русский мир」(ロシア世界)が日常生活のなかに確実に浸透しているようだ。
しかし、2年前はどうだったんだろう?
言葉はロシア語だろうけど、卒業式の国旗はやはりウクライナ国旗だったはず。
確かめたい。ネット空間に動画がないかな?
さて、動画の説明。字幕はない。
撮影者のコメントでは、撮影場所はへルソン州の第3学校だそうだ。
グーグルマップで調べると、黒海沿岸のスカドフスク市シュミッタ通28が住所とわかった。
ドニエプル川以北はウクライナが奪還しているが、南部はロシアが支配しているからこんなに落ち着いて卒業式ができるんだろうね。
来賓はウラジーミル・サリド知事と教育相。
参列者は保護者や在校生などが校庭を取り囲んでいるけど、2、3百人はいるんじゃないだろうか?
まず、生徒代表が開会を宣言した後、ロシア国歌が流された。
みんな直立不動。校長と教育相は歌っているが、サリド知事は口を動かしていない。
この親露派ユーチューバーにはサリド知事のPR動画が多いけど、口パクもしていないところをアップしちゃまずいんじゃないの?
続いて、タスキをかけた卒業生が二人ずつ手をつないで登場。
短髪、小太りの校長があいさつ。
「困難や障害に立ち向かう資質はロシア人にいつも継承されているものです。あなたたちの可能性を自分、そして祖国のために使ってください」と言ってた。
当然ながら、完全にロシア向きの内容。生徒や保護者には、もはやウクライナ系住民はいないから、気にする必要もないんだろうか?
次にサリド知事のあいさつ。
どうでもいい挨拶の訳は割愛。
撮影者がわざわざロシア国旗を背景にした構図にしようとしているのがよくわかる。
ウクライナの反転攻勢が予測されるなか、春の陽気の下で開催された卒業式・終業式の光景からは緊張感は微塵も感じられない。
前線からはなれた黒海沿岸では危機意識が弱いんだろうか?